中村京蔵に。ホレる。

千秋楽の終演後。鳴り止まぬ拍手。
また幕が上がる。

そのたびにその人はおじぎをキメる。
片ひざを落とし、腰をギリギリまで低くする独特の姿勢で。

そのポーズは大変優美ではあるけれども
かなりの筋力と体力を要するに違いないと思われる。

おじぎの主は中村京蔵。


                            



4月に上演された舞台「新版 天守物語」。

(主演:「富姫」役=大空祐飛)
(ストーリーテラー:(泉鏡花役)=三上博史)

画像




















画像




















(今頃書いている… もう忘れてるところもある。
 間違った記憶でないことを祈る。
 とにもかくにも今年中に書かなければ!と。)


白鷺城(姫路城)の最上階には異界の者(妖怪)が棲むという伝説に基づいて泉鏡花が書いた戯曲「天守物語」を
日本の伝統芸能=能・狂言・歌舞伎=の演者たち、現代演劇や元宝塚の役者たち、などなど、様々なジャンルの人たちで作り上げるという異色の舞台であった。


出演者の一人である中村京蔵は歌舞伎俳優。
いわゆる女形の役者さんだ。
(経理ソフトの「勘定奉行」のCMで、奉行と女性、一人二役で演じているのがこの中村氏である)
(ま、私は中村氏もくだんのCMも知らなかったのであるが。)


この舞台での中村の役どころは「舌長姥」

富姫(大空祐飛)の妹分、亀姫(中村梅丸)の手みやげである生首を
長~い舌でチロチロとなめまわすこの老婆、
まっチロ白塗りの顔にボサボサロン毛の白髪で
何百年も生きている異界の者である。

舌長姥の存在も、中村京蔵という人も知らずにこの白き顔の不気味な老婆を観た私は最初、
「あー、何か、志村けん(バカ殿?)に似た人がいるなぁ」と思った。

それからほどなくその姥が
だんだんライデン湯澤殿下(聖飢魔II)に見えてきたもんだから。

しかも彼(いや、彼女か)が老婆すぎて、人前をはばからず大胆な居眠りをし始めたものだから
もう気になって気になって。

だってその居眠りの仕方がもう…
たいへんにスゴイ姿勢でね。


周りのお話が進む中、舌長姥は地べたに座ったまま、もう眠くて眠くて仕方なくって(なんせ年取ってるから)
上半身がどんどんななめ後ろへ傾いて行くのよ。

かなりの「そり具合」のまま、居眠り演技は続き、
傾いた姿勢をキープ。←でも眠いから寝ている(笑)

あんな姿勢をキープできるなんて。
どんな身体能力の持ち主なんだ!(老婆のくせに!)

(あとで調べたら、京蔵氏、50代の、見た目は普通のオッサンである。
 歌舞伎俳優、恐るべし!)

姥は生首を「むさや むさや」と言ってなめまわして夢中になりすぎて(かな?)
ちょっとたしなめられちゃったりするんだけど
その恐ろしいお下品な奇行の中に茶目っ気もあって
コワイけどとてもかわいらしくさえ見えるのだ。
演者の洗練された所作と品格のなせる業なのか…


そして芝居は終わり
幾度とないカーテンコール。
何度も出て来てくれて頭を下げる出演者たち。

美しいおじぎの老婆は何度も同じポーズで私たちに応えてくれた。
恐ろしい身体能力を駆使して。


(これが文字通り「礼を尽くす」ということなのだろうか)


なんて…
なんてすてきなおじぎなんだ。
なんてすてきな人なんだ。


おじぎにホレる。ことがある。

このときそう思った。



画像


ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

ナイス

この記事へのコメント